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【300字SS】豊穣の魔女とスウェーデンの春

  • まるた曜子
  • 2017年4月1日
  • 読了時間: 1分

「ようこそスヴェーリエへ」

微笑みながら現れた少女2人は首を傾げた。

「お婆ちゃんに変装?」

「日本人観光客にばれると面倒なの」

「じゃあ私たち『日本から来た祖母を案内する孫』ね」

「双子の孫のふり?」

「あたしは見た目通りだけどね。あっちは」

「私は同世代よお祖母様。さ、王立公園へ向かうわ。 蕾を結ばない樹を診て欲しいの」

「動物は得意だけど植物の声は聞こえなくてさ」

「こちらにも《豊穣》はいるでしょうに」

「日本の物は日本人が最適」

「『サクラフブキ』は春の言葉だよね? あの子だけ冬のままなんてやだ」

「案内して」

「そうこなくちゃ」

春のストックホルムを魔女達は連れだって歩く。

1998年に日本から植樹された桜を助けに。

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