淅瀝の森で君を愛す
増築した部屋にお義姉さんとなあが引っ越してきて、バタバタしてるうちに産み月がきて、春菜が産まれて、お披露目も兼ねた結婚式と披露宴を済ませた嵐のような1年が過ぎた。その間にあたしはなあとすっかり仲良くなった。お義姉さんが夏生くんをなあと呼ぶので、うちの家族もそれに習った。...
僕の真摯な魔女
魔女を好きになった。 それはいろいろささやかな、彼女が行う行為を目撃することで。 「最近怪我が多くて。そんなに不注意な方ではないんだが」 「委員長わぁー、恋に盲目なんじゃないすかあ?」 「は? なんだそれは」 彼女の友人は、大人しい彼女にはそぐわない、派手な、アタマ...
花と祝祭
6 ―――1年次 「ただいまあ」 玄関からリビングに声だけ掛け、階段を上がった。先週降った雪がまだ残ってるけど、ここ2~3日は比較的暖かだ。手袋をベッドに放り投げ、ハーフコートを脱ぐ。 タートルネックのセーターの上にジャージを羽織っていると階下から知らない男性の声が両親...