山鳩 ~まんが日本昔ばなし底本~
雨が降ってきた。 俺は村から伸びる山道を、そしてその道を覆い隠す山の木々を見あげた。これは大丈夫。農作業の手を止め山を眺める俺を、妻(さい)が覗うのを背中に感じる。それを無視して鍬を振り上げる。妻の視線も逸れた。 この村の男はみな、なにがしかの鳥になる。人の器で生まれる...
【300字SS】豊穣の魔女とスウェーデンの春
「ようこそスヴェーリエへ」 微笑みながら現れた少女2人は首を傾げた。 「お婆ちゃんに変装?」 「日本人観光客にばれると面倒なの」 「じゃあ私たち『日本から来た祖母を案内する孫』ね」 「双子の孫のふり?」 「あたしは見た目通りだけどね。あっちは」...